医者婚日記

幸せな人生の作り方

女医が試してみました。ヒプノバーシング体験談

少し前ですがイギリス皇室のキャサリン妃が選んだ出産方法として、ヒプノバーシングが海外で話題になりました。

ヒプノバーシングは日本語だと催眠(=ヒプノ)出産(=バーシング)と訳されています。
催眠出産といわれると少し怪しいような印象ですが、呼吸法の練習やイメージトレーニングにより、陣痛などの出産時の苦痛を和らげる出産方法です。

 

私自身は独学で勉強してヒプノバーシングで第一子を出産しました。

独学だったので効果は不十分だったかもしれませんが、正直な体験談をお伝えします。

今でも日本ではヒプノバーシングに関する情報はまだまだ少ないと思いますので、興味のある方に私の情報が少しでも役立ってくれれば嬉しいです。

 

目次:

 

 

もともとは無痛分娩の希望だった

 

医師という仕事柄、避けられる痛みは取り除くべきと考えていたため、独身の頃から出産は無痛分娩と決めていました。

…と、強がって言えばそうなのですが、学生のときの産科病棟での実習で妊婦の皆さんが苦しんでいる姿が目に焼き付いてしまい、出産が怖くて仕方なかったのです。

 

そんな私も時が経ち、結婚して子供を授かりました。
しかし、出産時に住んでいたのは静岡県の郊外。初産で無痛分娩を引き受けてくれる病院がありませんでした。

なんとか探し出したのは車で1時間ほどの所にあるクリニック。初産では無痛分娩は引き受けていないようでしたが、私が医師であり硬膜外麻酔の処置や合併症にも理解があるため、検診で通っているうちに特別に受けてくださるとのお返事をいただきました。

しかし院長先生が特別に許可してくださったことなので、院長先生の不在の水曜日だけはできません、と言われていました。
本当は24時間365日対応してくれる医療機関が良かったのですが、他に選択肢もなかったので、そのクリニックでお願いすることにしました。

水曜日に当たらないことだけを祈りながら…

 

ヒプノバーシングを学び始めたきっかけ

7分の1の確率で、私は無痛分娩はできない状況にいました。
水曜日になってしまったら私はどうしたら良いのか…とにかく痛みに対する恐怖心・不安でいっぱいでした。

この不安を少しでも和らげるために、何か準備できないかと色々なバースプランなどについて情報を探し回りました(どっぷりネットサーフィン)。

海外では米国のように無痛分娩が当たり前の国もありますので、逆にそういった国の方々の体験談なども読んでみたり、いろいろな意見を参考にさせてもらいました。

その中で、自分だけの力で出産を楽にできるというヒプノバーシングを知りました。

無痛分娩にできなかったときのために、ヒプノバーシングを独学で学びながら練習して準備をすることにしました。

 

ヒプノバーシングの準備

日本ではヒプノバーシングは認知度も低く、受講できるコースを開催している地域はかなり限られていました。
当時住んでいた静岡県内の地域では、該当するものもなかったため、独学で勉強することにしました。

まずは海外のサイトやYouTubeなどで情報を集めました。しかし断片的な知識ではなかなかヒプノバーシングを体得するのは難しいな、という印象でした。

その後、ヒプノバーシングの提案者である先生の書籍を購入し、ゆっくりと練習していきました。日本語版はなかったので、英語の本で学びました。
Amazonで買いましたが地方でも洋書がすぐに手に入るのは本当にありがたかったです。
幸いなことに手にした本はわかりやすい実践書になっていたので、1人でも練習を進めることができました。

妊娠7ヶ月頃から、1日に1~3回とくに寝る前には欠かさずに呼吸法などを練習し、瞑想・イメージトレーニングも行っていました。

 

そして陣痛が始まる

それは検診の後の火曜日の夕方でした。検診の帰り道で、立っているのが精一杯という位の前駆陣痛がきたのです。
それまでの前駆陣痛では歩いたりもできていたので、一段階強くなったお腹の張りに嫌な予感が…明日は無痛分娩のできない水曜日です。

念のため帰宅後は入院準備も整えて、その日を過ごしました。
今でも覚えていますが、夫が当直だったので夜中に何か起きたらどうしようかと、不安な夜を1人で過ごしました。

そして次の日の水曜日、動くのがしんどくなってきたので、午後は横になってゆっくりお相撲を見ていたところ徐々に前駆陣痛はほぼ10分間隔へ。

諦めてシャワーを浴びて、部屋の片付けや入院グッズの最終チェックなどをして過ごしました。
本当に水曜日に当たるとは…半泣きになりつつ腹をくくるしかないな、と諦めの境地でした。

ここまできたらヒプノバーシングで練習したことをできる限り頑張るしかない、という緊張感でいっぱいでした。

 

その後、陣痛の間隔を計ると短いときは7分ごとになっていたのでクリニックに電話し、入院となりました。

当直明けの夫には少し早めに18時過ぎには帰ってきてもらい、一緒にクリニックに来てもらいました。

 

入院

診察などを終えて、入院となったのは20時過ぎでした。
入院時は4cm開大でした。

最初は本を読む余裕もあったので、文庫本片手に陣痛をやり過ごしていました。
その後、陣痛がだんだん強まってきたので、イメージトレーニングの時にいつも聴いていた音楽をイヤホンで聴きながら呼吸に集中するようにしていきました。

もともと生理痛がひどい方だったので、破水するまではきつい生理痛くらいの感覚でした。赤ちゃんが降りてくると、それに加えて腰痛やお尻のしびれのような感覚がありました。

噂で聞くような痛みのピークはまだまだ先なんだろうなぁと思いながら、いつ本番の痛みが来るものか…と少し怖くなりつつも、できるだけゆっくりとした呼吸を意識していました。

 

お産へ

 

入院から2時間ほどで、足を暖かい液体がつたっていった感覚がありました。

「破水?ちょっとだったし尿が漏れたのかな?はずかしいな…」
と思っていたら、助産師さんが23時頃内診をしたところ
「破水したよね?」
と聞かれ、破水だったことが判明しました。

考えてみれば破水した後は、腹筋が陣痛に合わせて勝手に収縮するようになっていました。
しかし、どういう状況なのかよくわからないのでその間も呼吸に集中して力を抜くようにしていました。
タイマーのようで、人体ってすごいと関心しました。

そして破水が判明した20分後くらいに助産師さんがもう一度内診すると、
「全開大だから、もうお産だよ!」
と言われ、あれよという間にお産の体勢に。
「もう頭出るから、次でいきんでね!」
といわれましたが、会陰裂傷が怖くて加減しながらいきんでました。
しかし、助産師さんに
「こっち見てお腹に力入れて!」
とのお言葉をいただき、言われるがまま腹筋に力を入れてみたらするする生まれました。

山場はもっと後かと思っていました。

 

意識はずっとはっきりしていたので、お産の姿勢で足側に何人も人がいるのが恥ずかしかったです。

あとは自分では見えないので、お産の状態が把握できないのが少し残念でした。

夫は立ち会いましたが、足側は見えてなかったと思うので良かったです。

 

 

感想

実際のところ出産時の痛みとは母子の状態により様々ですし、他人と比べることはできません。
あくまで一個人の体験でしかありませんが、私の場合は入院後3時間半で出産となりましたし「みんなのいう痛みのピークはまだまだこれからだよね・・・」と思っているうちに終わってしまいましたので、ヒプノバーシングを実践してよかったと思っています。

 

何より、パニックになったり周りの人に暴言を吐いたりと自分を失うような事はなく、落ち着いて出産できたことは良かったです。自尊心を守るためにも。

 

またその課程で学んだ呼吸法や痛みに対する考え方や手法は、日頃の痛みや体の不調をマネージメントするのにとても役にたったと感じています。

個人的には、特に10代から悩んでいた緊張性頭痛のコントロールに有効だったので嬉しい副産物でした。

 

一つの体験談でしかありませんが、私の体験が少しでも役に立ってくれればと思います。
実際に私がヒプノバーシングで練習したことなどは後ほどアップしたいと思います。